タージマハルを後にし、翌朝、いよいよガンジス河のあるバラナシに向かう。
本当は夜行列車で行こうと思ってたけど、
何しろインド滞在期間が限られてるので、今回は飛行機を使うことにした。
バラナシの空港に付いたのは午前11時。
バラナシのホテルは予約していなかった。
だから、地球の歩き方にのっている「プジャ ゲストハウス」
ここへタクシーで行こうと考えていた。
空港の出口に向かうと、何人ものタクシーの運転手がこっちに来る。
彼らの商売に対する強引さは尋常じゃない。
いきなり腕をつかみ、僕をタクシーまで連れて行こうとする。
日本じゃまずありえない。
空港の入り口近くにいる運転手は高額なタクシー代を要求してくると聞いていたから
少し歩いたところでタクシーを捕まえた。
運転手は17才の青年。
1時間ほど後、ガンジス河のすぐそばの通りに着いた。
しかし。
あまりの交通量の多さと、入り組んだ道なりが続くのでホテルの場所がわからない。
10月といえども、気温は約30度。
バックパックを抱え、地球の歩き方の地図を見ながら汗がしたたり落ちる。
バラナシの大通りには、リキシャーや車のクラクション音が鳴り止まない。
インド人からの罵声も日本語で飛び交う。
「おい日本人、なんでここにきた。帰れコノヤロー」
「俺が助けてやる、こっちこいよバカ!」
警察に聞いても英語が通じない。
まるで迷路のような世界に、だんだん嫌気がさしてきた。
歩き回ること約1時間。
突如、20歳前後の青年が話かけてきた。
初めは無視していたが、僕もあまりに疲れいたので耳をかたむけることにした。
「皆だましてくるから気をつけろ。心配するな。俺はそんなつもりない、君を助けたいんだ。日本人は皆親切だから」
そう話しかけてくる彼の言葉にただただ頷きながら、バラナシ独特の狭い道のりを歩き、
僕はようやく目的のホテルに到着した。
「荷物を置いたら、下で待ち合わせしよう。僕が火葬場を案内してあげるから」
彼をすっかり信じきっていた僕は、すんなりOKのサインを出した。
このホテルも一泊400ルピーという安宿。
屋上からはガンジス川が一望できる。
その後、下で待ち合わせをして彼と合流した。
バラナシはまさに最強にカオス。
狭い道に至る所にゴミの山。
ゴミにたかる無数のハエ。
そのゴミを食べる犬。
横にはやせ細った牛が通り、上には狂犬病をもった猿がわんさか。
そして何より
臭い。
この臭さは半端ない。
ゴミ・うんこなどが混ざり、強烈な異臭を放つ。
公衆トイレもほとんどなく、インド人もゴミの上に華麗にうんこを放っている。
至るとこにある、犬・牛・インド人のうんこ。
これぞカオス。
まさに映画の世界。
ザ・アドベンチャー。
歩きながらもインド人からひたすら絡まれる。
「チャイ飲んでけよ!」
「日本人ようこそ!」
「お前ネパール人に似てるな」
意味不明な言葉をかわしながら、彼とともにガンジス河の近くのガートに向かう。
ガンジス河はまさにインド人からしたら、一度でも行きたい聖なる川。
ここで沐浴することで、生まれ変わっても幸せな生活を送れるらしい。
ヒンドゥー教の輪廻の教えだ。
日本人がここで沐浴すると、二人に一人が病院送りらしい。
僕は沐浴しようか迷ったが、ホノルルマラソンのことを考え断念。
ガンジス河で沐浴しているのはインド人だけではない。
牛も一緒に華麗にダイブ。
とても心地よさそうだった。牛が。
そして、彼の案内により火葬場に連れていってもらった。
火葬場に着いたら突然、もう一人の男が現れた。
どうやらここでボランティアをしているらしく、現在23歳。
ここまで案内してくれた青年に代わって、彼が火葬場の説明をしてくれるようだ。
僕はまたしてもすんなり、彼に付いて行くことに。
ここ、ガンジス河にはインド中から死体が送られてくるらしい。
そして約3500年も燃え続けている、神秘的な火により火葬されるようだ。
しかし、火葬されない人もいる。
カースト制による身分の低い人・病人・妊婦などは火葬されず、
そのままガンジス河に死体を投げ捨てられる。
つまり、限られた人しか火葬してもらえないのだ。
そのためガンジス河には数多くの死体が埋もれている。
そして、投げ捨てられた死体を食べるカラスたち。
その後、ボランティアの青年に火葬場のまさに近くまで連れて行ってもらった。
衝撃だった。
死体が焼かれるのを見たのは、人生で初めてだった。
この衝撃度合いは、言葉に表せない。
今もまだ、目にしっかり焼き付いている。
ここまで死と向き合ったのは、3.11以来だ。
インド行けば人生観が変わると言われてるけど、どうやらこの火葬場はその理由の一つかもしれない。
そんな光景を前に、彼は言った。
「今から、病人の老婆を連れてくる。彼女が君の家族の幸せを願ってお祈りをしてくれる」
そう言って、ただ彼に従うままに、老婆に祈ってもらった。
すると彼が
「火葬に必要な薪は、一本25ドルかかる。もしよかったら、君の心に従って、少しでも寄付してくれないか。」
僕「・・・・」
「心に従ってくれればいいんだ、ゼロでもいい。君の素直な気持ちに従えばいい。」
僕は火葬場の光景を見た衝撃から、少し悩んだ後、きづいたら彼に50ドル札を渡してしまっていた。
なぜか、死体を前にした時、50ドルが単なる紙切れに見えてしまったのだ。
こうして、ボランティアの青年と別れ、また宿に戻ってきた。
とにかく疲れきっていたので、屋上のテラスで宿の人たちと話していた。
その一人である彼。
彼はコックさんで、谷村新司に似ていることから
彼はコックさんで、谷村新司に似ていることから
「アイ アム 谷村」
と連呼していた。
谷村はまじめそうだったので、色々深く話した。
そして寄付したことを打ち明けると、、
そして寄付したことを打ち明けると、、
「お前、騙されたな。まあ日本人はお人好しだから、簡単にお金を渡すのはよくあることだ。無視すればよかったのに。」
地球の歩き方にも、「ガンジス河近くの寄付に注意」と書いてあるではないか。
「・・・・・・。」
ふー。あっぱれインド人。
多分、その50ドルは薪代なんかじゃなく、ボランティアの男と僕を案内してくれた青年がお酒にでも使っているのだろう。
ああ、やってしまった。
貴重な50ドルを。
DA・MA・SA・RE・TA
DA・MA・SA・RE・TA
(インド編はあと2回で終わりです。)
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ブログ更新お疲れ様です。展開が非常に面白く、毎回食い入る様に拝見しております。私も世界一周に興味があり、参考にさせていただきます♫次回のブログも楽しみにしてますね!
返信削除コメントありがとうございます^^そう言って頂けるとても嬉しいです!世界一周、ほんとにやってよかったと思ってます!今後もブログ楽しみにしていて下さいね☆
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